当研究所について

ABOUT

ご挨拶

学校法人 山脇学園 理事長畑口 紘

山脇有尾類研究所設立の目的

このたび有尾類(イモリやサンショウウオなど有尾目の両生類)をテーマにした⽣命科学分野の研究サポートと環境学習のための教育プログラムを提供するために、関係諸機関のご支援をいただいて「山脇有尾類研究所」を設立いたしました。

中等教育機関である本学園が、言わば外郭団体として、このような研究所を保有するのは極めて異例なこととは思いますが、生徒の皆さんに最高の研究環境を提供するために必要且つ有益と判断いたしました。

有尾類を含む両生類は環境汚染に敏感なため「環境のカナリア」と呼ばれ、地球規模での環境問題に警鐘を鳴らしています。1980年代以降その生息数の劇的な減少が確認されて以来、生物多様性に関わる最も重大な脅威のひとつとみなされ、世界的に注目されています。日本の有尾類もそのほとんどの種が環境省レッドデータブックに掲載されています。

将来の社会を担う中高生が有尾類を中心にしたテーマで科学研究及び環境問題に取り組み、希少野生生物の保護活動に参加することは社会的に意義のある活動であり、生徒一人ひとりの人間形成においてもかけがえのない経験になると確信しております。

本研究所が設立の目的を遂げるために、引き続き関係各位のご指導ご鞭撻をお願いいたします。そして、生徒の皆さんがこの研究所を有効に活用して、社会課題の解決に取り組む人材となることを願ってやみません。

山脇有尾類研究所 理事長篠崎 尚史

サイエンスの基礎力を養成する

医学部を中心に30年余にわたる教育を行ってきましたが、欧米との決定的な違いは、大学生の基礎力にあると感じています。特に基礎生物学の知識、経験の不足は医学、科学分野における柔軟な発展、イノベーションに弊害であり、多角的な視野、発想が必要とされる我が国のサイエンス分野での人材不足にも繋がっています。

この度、山脇学園に「山脇有尾類研究所」を設立し、地球環境の変化からの自然保護と、有尾類、特にイモリの再生能力に着目した研究を中学、高校の教育に取り入れ、グローバルな連携を経験することで豊かな人間形成を行うことといたしました。

世界的な女性研究者を輩出し、自らの人生を輝かせると同時に、その人生が多くの人類の益となる喜びが本研究所の最大の設立意義です。外部の研究機関や他校とも連携し、開かれた研究所として赤坂の地に創設された山脇有尾類研究所に、多くの皆様のご声援、御支援を賜れれば幸いです。

山脇有尾類研究所 所長秋山 繁治

山脇有尾類研究所の社会的役割

当研究所のパンフレットの表紙の「目」のデザインは、2005年から生命科学分野の生徒の科学研究を通して、女子の理系進学支援の取り組みを始めたときに作成したもので、2009年度から開催され、今年度で16回を迎える「集まれ!理系女子 女子高校生のための科学研究交流会」(文科省SSH指定校主催)でも冊子の表紙に使われています。

この「目」から向けられる「まなざし」には2つの大切な意味が込められています。一つは「探究する」という意味です。顕微鏡下のミクロの世界を見たときや、空から青い海を見たときの、新しいものに出会って瞳を大きく見開いて“輝かせている”まなざしです。もう一つは「見守る」という意味です。親が子に、教師が生徒に向けるような、心配しながら見守っている“あたたかな”まなざしです。生命科学を志すものにとって、瞳を輝かせて真理を追い求める強い動機ととともに、生命への畏敬をも含めたあたたかい思いが必要とされています。

女子中高生にとって生物学は、物理学や化学に比べて、研究テーマを見つけやすく、将来どのような科学分野の研究に進む場合も入り口になると考え、校内に生命科学分野の研究室と動物飼育室を設置し、中高生の科学研究の基幹施設として立ち上げました。研究所の活動としては、日常の研究指導だけでなく、実験講習会、セミナーを開催して、生徒と教員がともに研修する機会を提供するとともに、全国規模の交流会として「高校生両生類サミット」を開催して、生徒と指導教員の交流と情報交換のネットワークの構築に取り組みたいと考えています。
You are precious in My eyes.

組織

組織図

支援組織

基礎生物学研究所

広島大学両生類研究センター

日本両棲類研究所

ロゴマーク

アカハライモリの雌雄の配偶行動をデフォルメしたデザインで、ピンク色が雌、オレンジ色が雄です。
日本に生息するほとんどの両生類は体外受精をおこなうのに対し、アカハライモリは体内受精します。繁殖期は4月から7月上旬で、雄の尾と胴の腹側周囲に紫白色の婚姻色が現れ始め、雌を追う姿を見ることができます。雌は雄が分泌するソデフリンというフェロモンに誘引されて、雄を追尾し、雄の総排出腔から排出された精包を受け取って貯精嚢に一定の期間蓄え、産卵直前に精子を放出して、総排出腔内で受精させてから産卵します。精子は貯精嚢の中で、受精能を半年以上保持しています。

ロゴマーク作成のもとになった写真

関連組織・リンク